富山市は、マクドナルド・ハンバーガーなんだってさ

 枕元の書籍が散らかりすぎている、そろそろ片付けないとナー…と、殊勝な気持ちになりました。
 そ
うして、片付けの途中で手にしたのは、『再考 ファスト風土化する日本』でした。

 いつもの書店でこの書名を見たとき、“ファスト風土”は、最近よく聞くファスト・フードの“もじり”だろう、著者の三浦展氏は遊んでいるナーと思いながら立ち読みしていたのですが、チラチラと“富山”という言葉が出てきたので、ついつい買ってしまったものでした。

 その書名が、著者には悪いけれど、時流に便乗した安易な感じがして、枕元に他の本と一緒に置いてほったらかしていました。

 でも今、片付けの途中でこうして手にしたのも何かの縁だろうと読んでみたら、真面目な本だと分かり、単純に見切りをつけていた後悔もあり、ここでご紹介しようと思います。

 まず、その「ファスト風土」という言葉の由来を、著書は次のように述べています。

 本書は私が20年ほどまえに考案した概念である「ファスト風土」について改めて考えてみようというものである。━中略━
 大型店の出店規制が事実上解除された近年、日本中の地方のロードサイドに大型商業施設が出店ラッシュとなり、その結果、本来固有の歴史と自然を持っていた地方の風土が、まるでファストフードのように、全国一律の均質なものになってしまっているのではないか、というのが「ファスト風土」の言葉に込めた意味である。いうまでもなく、それは風土の「マクドナルド化Mcdonaldization」である。

 というわけで、この一文で、著者の熱意が分かろうというものです。

 さて、本書は、著者を含めて13名の論考から成り立っています。
 その中の一人、島原万丈氏の論考『センシュアス・シティとファスト風土━「食」から考える地方創生』によると、富山市と金沢市を比較して、例えば次のように出てきます。

 金沢市と富山市では、〈自然を感じる〉以外のすべての指標で金沢市が富山市を大きく上回っているが、特筆すべきは金沢市の〈食文化が豊か〉が全国1位であることだ。━中略━ 富山湾の海産物など美味しい食材や日本酒に恵まれた富山市も〈食文化が豊か〉は16位と健闘しているものの、金沢市には及ばない。富山市は「地酒、地ビールなど地元で作られる酒を飲んだ」が今ひとつ伸び悩み、「ミシュランや食べログの評価の髙いレストランで食事した」と「庶民的な店でうまい料理やお酒を楽しんだ」の低さが足を引っ張る形となった。

 ということのようですね。

 しかし、流れていく観光客相手の金沢市と、そうではない富山市を比較したってしょうがないと思うのだけど。毎日々々、観光客向けのミシュラン料理なんて食べられたもんじゃないと思うのだけどナー。

 で、さてさて、著者の三浦氏の言葉を最後にご紹介しておきます。

 本書編集の過程で山内マリコさんや轡田竜蔵さんの故郷であり、島原万丈さんがファスト風土の典型として原稿で取り上げた富山市を私は訪れた。富山市内を散策するのは初めてのことである。たしかに市内の郊外部には巨大なショッピングモールが複数あり、隣接する市にもある。だが富山ライトレールなど中心市街活性化策でも有名な中心地は元気であり、━中略━ 私は、郊外に行かずに中心地だけで暮らせる富山はとても良い街だなと思った。━中略━ 私は富山市に引っ越そうかなと思ったほどだ。

 なんとも面はゆいが…、これは、富山市を貶しすぎた言い訳じゃなかろうか?

 そういえば思い出した、去年の春、東京から物見遊山でやってきた40年ぶりの知人が、一人で市内電車で岩瀬へ行ったりして、「富山は良いところだね」と言っていたっけ。

(引用参考文献)
『再考 ファスト風土化する日本 変貌する地方と郊外の未来』三浦展著 光文社新書 2023年4月刊